2023年度第1回統計数理研究所共同利用研究集会「世界メッシュコード研究会」 

2023年度第1回統計数理研究所共同利用研究集会「世界メッシュコード研究会」 

(2023-ISMCRP-5007)

開催日時:2023年8月23日 (水)11:00~18:00 

場所:統計数理研究所(東京都立川市緑町10-3)

開催形式:対面およびZOOMによるオンラインのハイブリット形式

申し込み:https://forms.office.com/r/spTnEqfVZf

【開催要旨】世界メッシュコードおよび世界メッシュ統計を用いた応用、利活用法の開発、関連分野紹介、応用と利活用事例の発掘とそれにかかわる議論を行うために研究集会を開催する。メッシュ統計作成を可能とする位置情報付き源データ、メッシュ統計データプロダクトの紹介、メッシュ統計を他データとともに利用した利活用事例、メッシュ統計の品質評価方法、データ分析方法を取り扱う。その他、現在はメッシュ統計やデータ利活用とは直接的に関係していないが利活用に関心を持つ現場におけるニーズを広く集めるため、企業や行政における活動紹介の発表も想定する。更に、主たる講演をインプットとしてデザインワークショップを後半に併催することにより、発表を行わない参加者も同様に世界メッシュ統計に対する知見を深められるように配慮し、聴講以外のインタラクティブな手段により世界メッシュ統計に関する学習を可能とする機会とネットワーキングの場を提供する。 

【タイムテーブル】

講演者
11:00-11:05 開会式(横浜市立大学データサイエンス学部教授 佐藤彰洋)
11:05-12:05セッション1 座長 佐藤彰洋
11:05-11:351⃣ 佐藤彰洋(横浜市立大学データサイエンス学部)
11:35-12:052⃣ 槙田直木(総務省 統計研究研修所)
12:05-13:30 昼休憩
13:30-15:00セッション2 座長 佐藤彰洋
13:30-14:003⃣ 加藤茂博(株式会社リクルート、株式会社時空間・行動連鎖研究所)
14:00-14:304⃣ 浅川達人(早稲田大学人間科学学術院)
14:30-15:005⃣ 河村匠馬(モノワイヤレス株式会社 技術部)
15:00-15:30休憩
15:30-17:00セッション3 座長 椿広計
15:30-16:006⃣ 長尾伸一(総務省統計研究研修所/横浜市立大学大学院データサイエンス研究科)
16:00-16:307⃣ 小田島洋斗(横浜市立大学データサイエンス研究科データサイエンス専攻修士課程)
16:30-17:008⃣ 渡邉潤(横浜市立大学データサイエンス研究科データサイエンス専攻修士課程)
17:00-17:10閉会式(統計数理研究所所長 椿広計、横浜市立大学データサイエンス学部教授 佐藤彰洋)
17:10-ラップアップ

【講演者】

セッション1(座長 横浜市立大学データサイエンス学部教授 佐藤彰洋)

1⃣ 11:05-11:35

講演者氏名:佐藤彰洋(横浜市立大学データサイエンス学部) 

講演題目:世界メッシュ統計の統合利活用基盤MESHSTATSとその実証実験を行って 

講演概要:メッシュ統計は、メッシュと呼ばれる細かい集計単位を使って、位置に紐づけされた多種多様なデータをもとに作成される統計である。公的統計および民間統計において、メッシュ統計は分野横断的に作成され利活用が広がっている。しかしながら、メッシュ統計は大量に生成されるため、人の処理能力を容易に超えるというビッグデータの課題が存在している。そこで、データ管理、分析、アプリケーション開発と利活用をシームレスに接続した統合的なメッシュ統計データ利活用環境があれば、各種課題解決へのデータ利活用が期待できる。本講演では、講演者が開発を行ってきた自律分散型の世界メッシュ統計基盤であるMESHSTATSについて、構造、機能、アプリケーション事例の観点から解説する。 


2⃣ 11:35-12:05

講演者氏名(所属):槙田直木(総務省 統計研究研修所) 

講演題目:世界メッシュ統計にとってのプライバシー強化技術 PETs の可能性

講演概要:データの安全な共有や再利用を実現するための要素技術群として、プライバシー強化技術 Privacy Enhancing Technologies PETs に対する関心が高まっている。例えばPETsの一要素である差分プライバシーはAppleが2016年にiOSに導入したことでも注目を浴びたが、近年はテック企業だけでなく、一部の国や国際機関などの公的部門においてもPETsに関する言及や取り組みが見られる。本講演では、PETsを巡る動きを概観しながら、世界メッシュ統計にとってのPETsの可能性について検討する。

セッション2(座長 横浜市立大学データサイエンス学部教授 佐藤彰洋)


3⃣ 13:30-14:00

講演者氏名:加藤茂博(株式会社リクルート、株式会社時空間・行動連鎖研究所) 

講演題目:少子化のもたらす人材供給制約性が事業最適地選定や事業計画にもたらす影響について~アカデミック・非営利・商用の段階的社会実装・実証実験モデルの可能性とともに~ 

講演概要: 少子高齢化の影響が叫ばれているが、多くの企業は自社の事業計画への影響が経営計画や事業の意思決定に十分反映されておらず、中期経営計画上の重要項目としての検討が不十分であることが、思わぬ機会損失や持続可能性のリスクへとつながっている。これらを可視化、認識するためには、事業データと統計データの統合的な分析が必要であり、優れた技術の商用化の際の障害として認識されて来た「死の谷」と同様、技術とデータが相互の機密性から出会うことなく統合分析の機会を得られないことが認識の遅れにつながっている。アカデミック・非営利・商用の段階的社会実装・事象実験モデルによって、技術の活用やリスク認識を高められる可能性について示す。 


4⃣ 14:00-14:30

講演者氏名:浅川達人(早稲田大学人間科学学術院) 

講演題目:社会空間構造における変動分析:変化の方向を可視化し変動の要因を分析するために必要な分析手法の検討 

講演概要:本研究の目的は、都市の社会空間構造における変動を捉えるための分析手法を検討することにある。都市の社会空間構造に関する研究はこれまで、複数年次の構造を横断的に捉える分析が主であり、時系列的な分析により変動を捉えた研究はあまりなされてこなかった。本研究では、都市の社会空間構造における変化の方向を可視化し変動をもたらす要因を分析するために必要な分析手法を検討する。 


5⃣ 14:30-15:00

講演者氏名:河村匠馬(モノワイヤレス株式会社 技術部)

講演題目:スケーラブルな省電力センサネットワークの開発 

講演概要:IoTの拡大に伴い、無線センサネットワークの活用事例が急拡大している。その多くは屋内で利用されているが、スケーラブルなネットワークを省電力かつ低コストに実現できれば、屋外における大規模なセンシングも可能となる。モノワイヤレスは、ルーティングレスの簡素な通信方式を採用することで、省電力性能に優れた無線モジュールを実現した。ところが、簡素な通信方式であるがゆえに、メッシュ型ネットワークとしての拡張が困難であった。そこで、既存のネットワークインフラへエッジルータを介して接続する仕組みを開発し、スケーラブルなネットワークを省電力かつ低コストに実現する方法を模索している。 


セッション3(座長 統計数理研究所所長 椿広計)

6⃣ 15:30-16:00

講演者氏名:長尾伸一(総務省統計研究研修所/横浜市立大学大学院データサイエンス研究科データサイエンス専攻博士後期課程1年生)
講演題目:ウェルビーイング指標としての全国及び地域別可処分時間を考える

講演概要:自分の意思で使える手取り収入として「可処分所得」の概念は従前より広く一般に知られている。その一方で、自分の意思で自由に使える「可処分時間」の概念が近年注目されるようになってきた。 
特に、ウェルビーイングな社会の実現が重視される現代において、自由に使える時間を持つことが心身の健康に深く関係していると考えられる。今回の研究では、その最初のステップとして、社会生活基本調査(総務省)の結果から我が国の全国民の可処分時間を合計した「総可処分時間」を推計して、その時系列変化を観察すること、「地方別および都道府県別の総可処分時間」を推計して、その差を生む要因を分析すること、どのような個人(従業上の地位、職業、勤務形態別)が可処分時間をたくさん有しているかを明らかにすることを目的とする。 


7⃣ 16:00-16:30

講演者氏名:小田島洋斗 (横浜市立大学データサイエンス研究科データサイエンス専攻修士課程1年)  

講演題目:流動人口データを用いたバス路線の分析 

講演概要:流動人口データとはある地点・時間における滞在している人口データであり、ほかの場所からの来訪者数を表している。このデータとバス亭・路線・バス到着時刻などを利用して、メッシュ統計を用いたバス路線の分析を行う。


8⃣ 16:30-17:00

講演者氏名:渡邉潤(横浜市立大学データサイエンス研究科データサイエンス専攻修士課程1年)

講演題目:メッシュ統計に基づく地域特性と地価の関係

講演概要:近年、コロナ禍によるワークスタイルの変化や少子高齢化、急速な都市化などによって地域特性と地価の関係が変化してきており再評価されるべきである。この研究は、地域の地価動向や需要予測などに関する貴重な情報を提供し、都市計画においての効果的な土地利用などに役立つことが期待できる。発表内容としては、公示地価についての地域分析や空間統計分析などのさまざまな分析と公示地価のメッシュ統計の作成およびその分析についてである。